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ブルームーン 2010年04月
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ブルームーン

ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No  460

君はパパの子

大学院に入学した。余裕がなくて、ブログは長らく放置だったが、明日が休日ということもあり少しだけ書いてみようかと思う。

昔から、自分の手が大嫌いだった。
父からの遺伝で上手くは言えないのだが、雪の手は人とは少し違って、一般的とは言い難いものだった。
世の中にはもっと重篤な病の方がいて、手が上手く使えない方もいらっしゃるから、自分ばかりが不幸だとは思わないが、ぱっと見て目に見える場所が人と違うということは、幼いころからの自分の最大のコンプレックスになっていた。
何と言えばいいのだろう。
例えば、日焼けをしたとする。普通の人ならば手の指までも全て黒く焼けてしまうのであるが、雪の場合指が斑点模様のように白く抜け落ちている部位があって、その場所は他の部位がどんなに日焼けをしようと焼けないのである。
見た目的に決して綺麗と呼べるものではないし、何よりそんなものを好きになれるほど寛容な心は持ち合わせていなかった。
それは父親の手そのもので、父がかつて祖父から受け継いだものである。
父は母と結婚をした時、この手の話を聞かれ、「火傷をして、このようになった」と述べたという。
その言葉から父にとっても自分の手がコンプレックスであるのだとうかがえた。
今ならば、母にそう言った父の気持ちが分からなくもないが、許すかどうかは別問題であった。
指は5本あるし、人並み程度には器用に動かせる。自分で言うのもなんだが容姿には割合恵まれた方でもあるし、それなりに人とコミュニケーションもとれた。
それでも、ほんの少しのコンプレックスは、自分を何倍にも落ち込ませたのは言うまでもない。
子供は天使のように純粋である。
ごくたまにそういう記述をする人がいる。確かに純粋である。だが、世の中には純粋な好奇心ほど怖いものはないと雪は思う。
子供のころ友達に、「その手どうしたの?」、そう尋ねられることが一番嫌いだった。
「触るとうつるんじゃないの?」「何したらそんな風になるの?」
周りの子供から聞かれる言葉は、全て自分が自分のなかで何度も反芻した言葉だった。
「生まれつきこうなんだ」「お父さんがこうだから」
いつもそう返事をした。聞いた方に悪気があるわけでないのは分かるのだが、いつもその言葉に責められているような気がした。
人は誰でも少しくらいかまってほしいという願望があると思う。だが、かまってもらうのと、好奇の視線を集められるのは意味が全く違った。
自分自身悪いことをしたつもりもないし、隠すことでもない。それでも、人と違うというそれだけのことで、人との間に一つの壁を作るには十分な理由だった。
母は私の手を見て言ったことがある。
「ごめんね」
親に謝られるということで、子供心にそれほどのことなのだとショックを受けた。
その言葉に縛られるかのように、両親の前では必死で気にしないふりを装い続けた。
「何が? 指は5本あるし、ちゃんと動くけど?」
何気ない言葉だが、声をふるえないようにするだけで精いっぱいだった。
両親の前では気にしないそぶりを続けた。中学へ行って、高校へ行って、大学へ行って……そして今でも。

「君はパパの子2」へ続く。

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