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ブルームーン それでも姉妹です3
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ブルームーン

ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No  132

それでも姉妹です3

この記事は「それでも姉妹です」  の続きです。

姉が海外へ行ってしまって、少し家が静かになった。
よく考えると生まれてこのかた姉と別に暮らすことなど旅行をのければほとんどと言っていい程なかったのだ。
姉が近くにいない所為か、必然的に姉を褒める声も、雪と姉を比べる声も聞こえなくなっていた。
不思議だなと思ったのを覚えている。今までアレほどいやだった言葉も聞こえなくなると少し寂しいのだ。
姉が海外へ行ってから暫くして、雪は姉からの電話を受けた。
何所に行ってもその声はやはり姉のもので、いつも身近で聞いてた声が受話器から流れることが何所か不思議でくすぐったかった。
元気にしている? そっちは何時? 何か変わったことはない?
姉が雪に伝えることはそんな月並みな台詞から、自分が海外に行ってから体験したことまで色々であった。
海外に降り立ってすぐ、寮の場所が分からないので、英語も喋れないのに身振り手振りでタクシーに乗ったこと。周りは皆優秀な人ばかりで、何の勉強もせずに飛びこんでくるのはお前くらいだと笑われたこと。カリフォルニアは日本よりもあったかいこと。折角アメリカに来たのに、学生街なので生粋のアメリカ人に中々会えないこと。
話を聞いていると、あぁ姉はやはり姉なのだと妙に納得した。
何所へ行っても彼女は彼女の道を歩むのだろうと、その時思った。
楽しそうに声がはずむ中、少しだけ聞こえた寂しそうな声色は、姉のような人でもホームシックにかかるのかと雪を驚かせた。
それからも、姉からは頻繁に電話がかかってきたのだが、雪が電話に出ることはほとんどなかった。
電話に出ることであの寂しそうな声を聞くのが嫌だったのかも知れない。
雪の中の姉はいつも楽しそうだった。つらいことなんか何もないかのように、いつもいつも馬鹿みたいに笑っていた。そんな姉だったから、雪は姉の世界には辛いことなんてないと思い込んでいたのかもしれない。
そして、アメリカに留学してから一年後、姉は無事日本に帰国した。
空港でアメリカの風土の所為か以前よりも肌が黒くなってますます外国人に近づいている姉を見て思わず頬が緩んだ。
ちなみに、姉が雪に一番最初に渡したお土産は何故か千葉産の落花生であった。
成田経由(だった筈)で帰国した姉は、雪が落花生を好きだったのを思い出し、購入したのだそうだ。
全くこの人は、とふっと笑みがこぼれた。
やることなすこと馬鹿みたいなのだ、この人は。
姉は久々の家に帰り、ずっと海外での話をしていた。寮をでてから、下宿を始め、同居人がどんな人であったか。プレイボーイのウサギのついたティシャツを着ているとやたらと絡まれること。それはそれは尽きることがないくらい片っ端から話していった。
雪や他の家族は皆それを聞きながら、「本当にこの子は……」と不思議な気分になっていた。
何はともあれ無事帰ってきてよかった。口には出さなかったが皆姉の話を聞きながら考えていたことはそうであったと思う。
姉が日本に帰って来て暫く経ち、アメリカでの思い出話も底をつきかけていた頃、姉にとって(多分)人生で一番ショックな事件が起きた。

「それでも姉妹です4」へ続く

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