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ブルームーン それでも姉妹です4
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ブルームーン

ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No  133

それでも姉妹です4

この記事は「それでも姉妹です」  の続きです。

姉が海外から帰国して暫くしてから以前から痛いと言っていた足の付け根がまた痛み出したようだ。
母や雪も姉の歩き方を見ていると、少し左足を引きずっている気がして、気になっていた。
そして、姉が長時間歩くことが辛いと言い出したため、母と共に病院に行くことになったのだ。
病院へ行って帰ってきた母と姉に、声をかけようと視線を向けるとそこには雪の知らない姉がいた。
落ち込んでいる、一言で言ってしまうとそうなのかもしれないのだが、絶望しているという方が近いかもしれない。
馬鹿のようで、いつも笑っている姉のあんな顔を見たのは後にも先にもあの時だけだと感じている。
母が雪に姉の足の状態について告げた。詳しい病名についてはあえて避けるが、姉の足は、足の骨を支える骨盤の部分が一部足りていなく、かっちりと足の骨を支えることができないため、長時間の運動などにより骨がずれてきて痛みが生じるのだそうだ。
その話を聞いた時、雪が思ったのは姉の夢についてである。
夢はフライトアテンダント。姉が口をすっぱくして何度も何度も言っていたことだ。
フライトアテンダントは見た目の華やかさとは別にかなりの激務である。
長時間立ちっ放しを余儀なくされることだってある。
そんな身体が資本であるフライトアテンダントを目指す姉にとって、自分の足の病気はどれほどの衝撃だっただろうか。
雪は落ち込む姉に何もできず、唯ぼんやりと姉の背中を見ていた。
治らないわけではない。
しかし、治療法といえば手術で足りない骨に人口骨を補うものしか今のところない。
これをすれば、治ることは治るが半年は歩けず、リハビリも必要になってくる。それに、人口骨であるために、勿論レントゲンにも写るし、何より手術の記録が残ってしまう。
フライトアテンダントの試験では何よりも健康であることを第一条件とされる。つまり、この病気が発覚したことは姉にとって夢を閉ざされたことであったのだ。
励ます、そんな言葉姉には一生無縁だと思ってきた。
雪が励まさなくても姉はいつも真っ直ぐ自分の行きたいところにいける人だったのだ。
だが、この時ばかりは本当に落ち込んでいたのだろう。
姉はその後暫く部屋から出てこなかった。
姉の心中も複雑だったのだろうが、雪の心中もまた複雑であった。
今まで、全てのことを姉を追いかけてやってきた。
姉をライバルとして追いかけてきたのだ。絶対に縮まらない6歳の歳の差がいつもいつも鬱陶しくて仕方がなかった。そんな姉が突然全てを失った。この言葉に御幣があるかも知れないが、夢のために過ごしてきた姉にとってこれはそれほどまでの事件であったと雪は思っている。
全く、つまらない。姉に勝ちたくて、姉に負けたと言わせたくて、必死になってやってきたのに、初めて雪が姉よりも勝っている部分が病気。そんなもの、嬉しくもなんともない。姉より足の骨が健康だったからなんだというのだ。無性に悔しかったのを今でも鮮明に覚えている。
姉は雪の前を走っていなければならないのだ。いつでも余裕たっぷりで笑っていなければならないのだ。
そして、そうやって走っている姉を正々堂々と抜かしてやりたかったのだ。
それが雪の理想で憧れだったのに。
三日後、姉が姿を現した。
驚くほどいつもどおりの姉のままで。
そして、口にしたのだ。
「うちの夢はフライトアテンダントになること!」
開いた口がふさがらなくなった。もし、この病気になったのが雪で、病気が分かることで夢に向かえないと分かったら、雪ならば落ち込んで、また別の選択肢を探すだろう。
しかし、彼女は三日前と同じ顔でそう言ってのけたのだ。
正直、なんて人だと思った。
そして、彼女は明るい声でこう言った。
「手術は受けへん。でも、フライトアテンダントの試験は受けてみせる。うちならできる。できんかったとしても、やれるところまでやらな気がすめへんねん」
それに対して、「でも足が……」と言葉を濁らせた雪に姉は、笑いながら「ばれなければいい」とさらりと怖いことを言ってのけた。
簡単な話病気であることを偽って、試験を受けると言っているのだから、止めることが正しいのかもしれない。
止めて、他の選択肢を選択させる道だってあったはずだ。
でも、両親も雪も姉の選択を止めようとはしなかった。
雪に至ってはむしろ応援したくなったのだ。
常識的にどうかと思うことをサラリと言ってのける姉を見て、やっぱり姉はこうでなければならないと感じた。
見かけが妹から見ても美人で、スラリとしたスタイル。姉に対して褒められるのはいつも見かけの印象であった。
でも、本当に姉の周りにいた人間は姉の外見で集まっていたのだろうか。正直、この時までそうだと思っていた。
皆姉を人形のように思い、連れて歩きたいのだろうと。
でも、この時の姉を見て、きっと皆が憧れたのは顔でもスタイルでもない姉の底面の凄さなのだろうと感じた。
決して折れることがない強さ、それが姉の一番の魅力なのだろうと。
そして、今も姉は相変わらず雪の前を走り続けている。
雪が精神的に姉を越えることはできないかもしれない。それでも、目指すのは姉であると思っている。
あの時に姉が見せた精神面の強さは今でもしっかりと姉の中に残っている。
あの強さが残っている限り、雪は姉を追いかけていくのだろうと、ひっそりと思っている。

「それでも姉妹です」・完

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この記事のコメント

No.341
興味深く読ませていただきました~。
実は自分にも、二つ違いの姉がいます。
この姉が、自分とはうってかわって出来のいい姉貴で。
コンプレックス、ありましたとも。
性格も好みも正反対で、子どもの頃は喧嘩ばかり、姉とは絶対に仲良くなることはないだろうと思っていました。
ところが。
大人になって、無二の親友のようになっています。びっくりです。
姉は自分の永遠の理想像、この世で一番尊敬する人間です。
姉の言うことは自分の中では絶対です。(実際、本当にしっかり者なのです)

姉妹って、すごく不思議な関係だと思います。
大事にしたいですね。
2008-01-17 Thu 15:50 | URL | 樹林 #iSRU2vB6[ 内容変更]

No.343 立派な姉さんですねえ
気高くて良いですね。
これくらいの精神の持ち主なら
何をさせても安心って感じですねえ...
2008-01-17 Thu 20:03 | URL | ミュジニー #-[ 内容変更]

樹林さんへ
雪も姉と仲良くなることなんかないなぁと思っていたんですが、今ではよく一緒に買い物に行ったりとかしています。
姉の就職の関係で今は一緒に暮らしていないんですけど、一緒に暮らしていた時には分からなかった性格なんかが見えてきて面白いです^^
この世で一番尊敬できる人がお姉さんって素敵ですねi-278

確かに、姉妹ってなんか不思議な関係だなっと思います。
そうですね^^大切にしていきたいですw

ミュジニーさんへ
確かに考え方とかは立派なんですけど、何所か抜けているので、いつも冷や冷やしています^^;
唯、それが姉のいいところかなっと思っているんで、なおしてほしいとは思わないですがi-278
2008-01-17 Thu 23:50 | URL | 小米雪 #2zzHlsOw[ 内容変更]

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