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No 196
Date 2008・03・23・Sun
心の掃除屋さん ボクは一人歩いていた。ぽつりぽつりと歩いてきたのは、今は使われていない旧校舎だった。ん? なにやら音がする。 『第一理科室』 音がしたのはそういう教室だった。今はみんな第二理科室を使ってる。新校舎にあるし、そっちの方がきれいだから。 「なんだろう?」 ボクはその教室をのぞきこんだ。 「ありゃー。見つかってもうた。」 ボクはその声の方を向き、目を丸くした。白衣を着たウサギが耳をかきながらちかよってきたんだ。 「ウサギー?」 「あんたはん、いくらウサギやからってウサギって呼ぶのはひどいですわ。あんたはんも人間言われたら腹たちますやろ?」 ウサギはそう言いながらボクの顔をのぞききこんできた。近くで見るウサギの顔は目が赤くってちょっと怖い。 「君はここで何してるの?」 ボクはおそるおそるウサギにたずねた。 「ワイはここに住んでますねん。この教室、もう使われてませんやろ? それに、ただで住んでるわけではおまへん。ちゃんとみんなのために働いてますで。」 ウサギは胸をふんっと張って見せた。 「働いてるって?」 「ワイの仕事は掃除ですねん。」 「掃除?」 ボクはうす汚れた部屋を見回した。とても掃除をしているとは思えない。 「あっ! ちゃいます、ちゃいます。ワイの仕事は部屋の掃除やなくて、みなさんの心の掃除ですわ。」 ウサギはふさふさの毛が生えた手を顔の前で振りながらそう言った。 「心の掃除?」 ボクは首をかしげた。心の掃除屋さんなんて聞いたことがない。 「そうです。せっかくきたんやから、あんたはんの心、掃除してあげますわ。」 ウサギはそう言うとおもしろそうに一つの玉を取り出した。とうめいでまん丸な玉だ。 「これは心の玉ですわ。これをあんたはんの胸にあてると……」 ウサギは玉をボクの胸にあてて見せた。玉はなにやら光だし、ゆらゆらと黒いもやが現れた。 「ありゃー。こりゃあかんわ。あんたはん、よう爆発しませんでしたなー」 ウサギはいつしか真っ黒になった玉を見ながらそう言った。 「これはあんたはんの心の中身。この部分はお母さんのいいなりになってる部分。」 「なんだよ、それ。」 ボクは少しウサギをにらみつけてやった。 「ちゃいますか? お母さんに逆らわれへんくて、やりたいことあきらめてるって書いてありますわ。」 ボクはだまり込んだ。確かにウサギの言うとおり、ボクはお母さんに何も言えない。 「次はここ。友達にからかわれてにがわらいを浮かべている部分。ホンマは怒りたいのに、友達にきらわれんのが怖くて笑ってるって書いてあります。」 ボクはまたウサギをにらんでだまりこむ。今度もたしかに正解だ。ボクは友達にからかわれてもただ笑っているだけ。 「次は――」 「もういいよ。」 ボクはそれ以上ウサギの話を聞きたくなくて耳をふさいだ。 「あんたはんの心、爆発寸前ですわ。爆発してまうと、もう元には戻りまへん。」 ウサギは歯を見せながらニヤリと笑った。 「それなら早くなおしてよ。ボクの心を掃除してよ。」 ボクはウサギにそう言った。爆発なんてめっそうもない。 「わかってます。ただし、掃除するんはあんたはんですわ。ワイはそのお手伝いです。それに、この掃除にはとっておきの道具がいるんです。」 ウサギはそう言うと、急にすっと暗闇へと消えてしまった。 「えっ? あれ?」 ボクはとまどいながら周りを見回した。ウサギの姿はもうどこにもない。 「なんだったんだろう?」 そう呟くと、ふと自分の手ににぎられているものに気がついた。 「消しゴム?」 ボクはまじまじとその消しゴムを見つめた。 そこにはただ『勇気』と書かれていた。 その文字を見た瞬間、ボクはウサギのニヤリと笑う顔が見えた気がして、ふんわりと笑った。 明日は言いたいことが言えるかも知れない。
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まいど〜
私がボウリングをしているうちに残念ながら駒岩高終わりました〜ヒグマ打線がリラックマ打線になってましたね〜w 大阪代表サヨナラ勝ち、流石強いです☆ 雪さんは理系も文系も、美形もイケてますよ〜☆☆☆ 関西弁のうさぎさんが楽しいし、うさぎの心臓と云う位、小心な動物に勇気を教えられる奥深さに素敵な宿題だと思いました! 私は文系でしたが今思い出すと、英語とドイツ語の予習で辞書ばかり見させられてましたねぇ〜 大学で学んだ事より学食の雰囲気ばかり思い出しますw ではまた 関西弁の童話も乙なものですね。!私が先生なら、花マルです。!素晴らしい童話でした。心の掃除は自分しか出来ませんよね。
「何ものにもとらわれず、縛られず、執着せず、たった今、ここにいる自分こそが、真実」勇気が大切だと思いました。 詩や童話が書けるのは才能だと思いますよ^^
このようなすばらしい物は書こうと思ってもなかなか書けるものでは無いですしw 確かに、自分を救うのは最終的に自分自身ですよね。他人に頼っても、甘えても、それで楽になったとしてもそれは他人の力であるわけですから。 また辛くなったときにそれを克服する術を見つけておかなければいけませんからね〜 No.631 皆様コメントありがとうございましたw
鍵コメさんへ
そうですねー。関西弁は一般的に分かりにくいのかもしれませんね^^; 雰囲気で感じてもらえればそれでいいかもしれませんw 最後の締めは雪自身も少し悩みました^^ 本当はもっと長い話だったんですが、原稿用紙五枚に結構苦しめられました
おひねりいつもありがとうございますw 元々興味のあった分野が理系だったんで、後悔はしてないんですけど、生物・化学の勉強ばかりしていると国語や社会が懐かしくなってしまいます。 ですが、理系に進んだものの雪を雇う会社があるかどうか……(笑) ヒポユキさんへ 駒岩高残念でしたねー。リラックマ打線(笑) 履正社は本当に頑張ったなぁ〜と思いますw 落球に思わずガッツポーズしちゃいました^^ >雪さんは理系も文系も、美形もイケてますよ〜☆☆☆ (笑) ありがとうございますw 才色兼備を目指します(えっ……) この話を書いてて、何故だか絶対にウサギ〜って思ったんですよ。頭にイメージがあったんでしょうね^^ それも絵に描いたような汚れたぬいぐるみのようなウサギだと思ってw この宿題はやっていて楽しかったですし、提出の日に他の子の書いた童話を読めるのが良かったです^^ ドイツ語ですか〜w 濁音の発音が難しいとか、女性名詞男性名詞がややこしいと聞いたことがるんですが、やったことは…… うちの学校は第二言語がないもので、英語だけです。唯友達が中国の子なので中国語の勉強を少しだけしていますw 雪もすぐに頭に浮かぶ大学の風景は友達と喋りながら過ごしている学食ですよ^^ ではでは 荒野鷹虎さんへ 関西弁を使いたいというアイディアは当初からあったのですが、普段使っている言葉でも文字にすると意外に難しくて戸惑いました。 花丸ありがとうございますw 自分の中に溜めているものなんかを気付かせてあげることはできても、本当に取り除くことは本人にしかできないですもんね。 嫌なことは我慢すればいい。確かにそれも間違いではないですが、時には自分の意見を持って勇気を出すことも大切だと、最近しみじみと思います^^ 火酒さんへ アメリカ旅行お疲れ様ですw 才能という程たいしたものかは分からないのですが、少しでも自分の感じたものを違う形で残せたらと思いますw 辛い時に横から手助けすることはできても、最終的に克服しなければならないのは結局自分自身なんですよね。 転ぶことを怖がるよりは転んだ後どう立ち上がるかを考えていた方が人生は楽しく過ごせるような気がします^^ |
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