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ブルームーン 君の掌
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ブルームーン

ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No  209

君の掌

学校の関係で時間がないので、過去に書いた短編小説のUPをします^^
お暇がおありの方、もし宜しければ覗いていってくださいw

 

 風邪を引いた。
 平熱より、少し高めの37.3度。
 頭がぼんやりとして、目線の先の天井はゆらゆらと波打つように見えた。
 そんな中俺が考えるのは、ある一人の女のことだった。
 三日前、喧嘩別れした彼女だ。
 いや、喧嘩自体は半年も前から続いていた。喧嘩の原因を探り始めたらきりが無くて、お互いがお互いの嫌なところを探しあって……。
 本当に如何してあんなことになったのか、自分でも分からない。
 付き合い始めた時は、彼女のことしか考えられなくて、彼女のことを知りたくて、彼女のことを見ているだけで幸せだった。
 別れる間際だって……
 たとえそれが、悪口だったとしても、彼女のことしか考えてなかった。
 たとえそれが、弱みを見つけるためだったとしても、彼女のことを知りたかった。
 たとえそれが、腹立たしさからだったとしても、彼女のことを見つめていた。
 なんだ、同じじゃないか……。
 あんなにも君を憎み、暴言を吐き続けていたというのに、やっていることは一年前君出会い付き合い始めたときと何ら変わっていなかったのか。
 好きの反対は嫌いじゃない。
 何所かでそんな言葉を聞いた気がする。
 今なら分かる気がする。好きの反対は嫌いじゃない。相手に感心を示さなくなったら、きっとそこは好きの反対になるのだろう。
 俺は、こんな状態でも彼女のことばかり考えてるのか。
 情けない。
 俺は君が嫌いなのに、如何しても如何でもいいとは思えないんだ。
 風邪を引いて思い出すのは一年前の君で、笑っている君で、優しく手を額においてくれた君なんだ。
 ガチャリ
 六畳一間の部屋に鍵音が響いた。
 あー、頭があがらない。俺は鍵をかけなかったのか?
 鍵が回りドアがそっと開いても、俺はその目を開けることが出来ない。
 誰かが部屋へとあがりこむ足音が聞こえる。
 止めてくれ。こんな部屋盗みに入ったって金なんて勿論無いし、持って帰る物なんて風邪のウイルスぐらいだ。
 ふと、俺の前で人の気配が止まる。
 何処かの誰かは俺の前にしゃがみ込むと、そっと額に手を置いた。
「……私、あなたなんて大嫌いよ」
「知ってるよ」
 俺は目を開かずにそう呟いた。
 目なんか開かなくたって、覚えているさ。ひんやりとした君の掌の感触を。
「大嫌い。でも、気になるの」
「ああ、その言葉……」
 彼女の言葉に俺は一年前の付き合い始めた日を思い出した。
 君はあの時も寝込んでいる僕にそう言ったね。
「ええ。一年前も同じことを言ったわ」
「大嫌いから始まったんだったね」
 俺は少し目を開いて心配そうに覗き込む彼女を見た。
「そうね。自分の身体を大事にしない人なんて嫌いよ」
 彼女は悲しそうに笑うとそう言った。あぁ、思い出した。喧嘩の原因。
 最初は酒ばかり飲む俺に君が注意をした一言だった。
 そう。君の気遣いの一言だった。
「あなたには何言っても無駄だもの……」
「そうかもしれない」
「でもね、私あなたのこと見捨てられないの。如何でもいい男なら、布団の上で倒れてたっていいはずなのに……」
 彼女は目に涙を溜めながらそう言った。
「言いたいことがあるんだ」
 俺は咳のでる口を押さえながら彼女を見た。
 彼女は俺の額から手をのけると、俺の目をしっかりと見つめた。
 俺は一度目を瞑り、わずかに残っている彼女の手の感触を確かめると、
「ありがとう」
 と言った。
「半年前に言ってくれたら喧嘩なんかしなかったのに」
 彼女はもう一度俺の額に手を置くと、汗で張り付いた前髪を払いのけた。
「ごめんな……でも、心配してくれてありがとう」
 俺はゆっくりとその言葉を声に出した。掠れる声でも上手く伝わったのか、彼女は少し笑うと、
「やっぱりあなたのこと嫌いよ。だから――」
 元気になったら会いに来て。
 彼女は耳元でそう囁くと、額にその冷たい掌の感触だけを残して部屋から去って行った。
 熱は平熱より少し高めの37.3度。
 この体温が君の掌を冷たいと思わなくなったら、君を迎えに行こう。
 俺は薄れ行く意識の中で、そう思った。


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この記事のコメント

No.686
まいど~
なかなか優しい彼女ですね~
喧嘩して別れても、まだ本当の別れじゃないみたいな、どこかで繋がってる感じが未練とは別な何か人間味を感じましたよ~

雪さん学校忙しくなるみたいで~
うんと学生生活エンジョイして楽しんでくださいね~!
季節も良いですし、何もかも楽しめる若さの季節に桜のようにパッと花満開の阪神頑張れって感じで、あ訳分からん文章いつもすいません
ではまた☆
2008-04-08 Tue 01:32 | URL | ヒポユキ #-[ 内容変更]

No.687 おはよww
にやり、としながら読みました。
男と女は、困ったものだな、って
思った。
もっと素直になったら、って思うけれど。
自分自身がそうなんだと、気づかされる。
意地っ張りで、たった一言が言えないんだよね。

で、気になったところがあって。
好きの反対は?って
色々考えて、こうかな、って。
私の場合は、「嫌いになれない人」
そんなことを言った事がある。
「一度好きになった人は、嫌いになれない」
だから、それが私の好きの反対語かなww
事実そうだから。

おひねりに雪さんの好きの反対は
何?って 質問用紙を包んでおきますね。
ポッチ★
2008-04-08 Tue 08:23 | URL | 雫 #Z7LMGkjQ[ 内容変更]

No.688
好きの反対には無関心
愛の隣には憎しみ
幸せの斜め後ろには嫉妬
満ち足りて前が見えない時には めのまえに落とし穴


恋愛のまわりはトラップだらけだけど
相手に感謝や尊敬の気持ちという お守りをぶら下げていれば 何とか回避できるかなぁ?w

2008-04-08 Tue 11:08 | URL | ヨヨ子 #-[ 内容変更]

ヒポユキさんへ
まいどどうも^^
好きだから言わなければいけないことってあるなぁ~と考えながら書いた気がします。
お互いが一人になって冷静になってみると見えてくるものだっていっぱいありますもんね^^
そう言った微妙な距離感が伝わっていたのなら嬉しいですw

学校は忙しいって程ではないのですが、新学期が始まったばかりでリズムができてないので、何かとバタバタしてしまい、ブログまで手が回ってないのが現状です^^;
唯、大学生活の丁度半分が過ぎてしまったんで、残りを精一杯楽しみたいですw
阪神の応援も精一杯しますね(笑)
ではでは


雫さんへ
本当に男女も恋愛も困ったもんですよね^^
唯、どうやったって攻略なんてできっこないから皆はまってしまうんでしょうねw
雪も意地っ張りなんで、素直になるのが難しい気持ちはすっごくよく分かります^^;

好きの反対は……「嫌いになれない人」ですかー。
確かに本当に好きだった人は嫌いにはなれないかもしれませんね。
でも、嫌いじゃないは好きじゃないってなんだか凄く難しいです。
雪はやっぱり感心を示さなくなったら好きではないんだと思いますよ。恋愛感情の好き意外にも色んな好きがありますから、少しでも好きならその人のことを見たり聞いたりすると思いますから^^
ではでは、コメント&おひねりありがとうございましたw


ヨヨ子さんへ
お久しぶりですw
そういわれると、本当に恋愛にはトラップがいっぱいですねー
そんなトラップがいっぱいな場所だと分かっているのに、結局足を踏み入れてしまうのが、恋愛にはまってしまう原因なんでしょうね^^;
そうですね^^相手への感謝や尊敬をお守りに一杯一杯つめてると、きっとそんなトラップも回避できるんでしょうねw
2008-04-09 Wed 01:12 | URL | 小米雪 #2zzHlsOw[ 内容変更]

No.692 管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2008-04-09 Wed 02:35 | | #[ 内容変更]

No.694 鍵コメさんへ
勘違いでしたかー^^
それにしても、好きの反対……
うーん、やっぱり難しいです。
「嫌いになれない」の今でも好きは唯の好きとは違うものなんですかね?
雪の場合よく嫌いになりたい時はありますよー。嫌いになれないじゃなくて、嫌いになれたら楽なのになぁ~と思うことがよくあります^^;
好きだから別れたいのかも知れませんね。好きな状態で別れたら綺麗に後に残る気がしますから。
でも、やっぱり寂しいです。

そう言った話を聞くと、世の中の結果の原因は全て小さなことなのかも知れないなぁーと思います。
ほんの少しだけ素直になれたら、皆もっと幸せに生きられるのかも知れないなぁ~と考えることがあります^^;

いつも、おひねりありがとうございますw

2008-04-10 Thu 00:00 | URL | 小米雪 #2zzHlsOw[ 内容変更]

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