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ブルームーン ドーナツ
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ブルームーン

ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No  277

ドーナツ

 

「ありがとう!」

 教室に……いや、私の中にあなたの声響いた。

 あなたは嬉しそうに女の子からドーナツを貰ってたよね。

 そっか……甘い物好きなんだ。

 お菓子の作り方なんか知らないし、作った事もないけど……。

 私はその日お菓子作りの本と道具を買った。

 

 あなたのドーナツを美味しそうに食べる顔が浮かんだから……。

 私はドーナツを作り始めた。

 何度も何度も失敗して、何度目だったかな……

 やっとドーナツって呼べるものが出来た。

 やった! やった! やったー!

 私にはその時もう、あなたが美味しそうに私のドーナツを食べてる姿が見えていた。

 もし、あなたの瞳に映れたら

 もし、美味しいって言ってくれたら

 もし、笑ってくれたら

 ……告白しよう

 私は決心した。

 

 

「これ……食べてくれない?」

 場所は校舎の裏。告白の名所。

 私は高鳴る鼓動を抑えながら笑顔でそう言った。

 こっちを見て笑ってほしい……

 お願い、嬉しいって言って!

「悪い……。俺甘いもん、駄目なんだ……」

 あなたの反応は私が想像していたものではなかった。

「だって……この間甘い物好きって……」

 あなたは困ったように頭をかいた。

 その時に見えた左手は私の心臓を鷲づかみにした。

 薬指……指輪してたんだ。

「……分かった。ごめんね、困らせて……」

 私は無理に笑顔を作った。

 笑えてたかな。

 まだ泣いてないよね。

 私はその場を走って逃げた。

 教室から遠くに

 校舎から遠くに

 あなたから遠くに

 私は誰も来ない木の影に隠れた。

 笑ってほしかったのに!

 美味しいって言ってほしかったのに!

 私はそう思いながら木の幹を殴りつけた。

 泣いて、泣いて……やっと分かった

 甘いものが好きなんじゃなかったんだね。

 あなたが好きなのは、甘いものをくれたあの子だったんだね……

 手が洗ってもとれないぐらいまでバター臭くなって

 髪の毛が小麦粉だらけになって

 それでもドーナツを作ったのは……あなたのためだったのに。

 あなたの笑顔のためだったのに……。

 あなたは馬鹿だよ!

 彼女の事好きだからって、わざわざ好きでもないドーナツを美味しそうに食べてみるなんて……。

 でも、好きでもないドーナツを食べてるあなたを見て、幸せになってた私はもっと馬鹿だよ……。

 ふと、見下ろした足元にあったのは、あなたの為のドーナツ。

 笑っちゃうよね。

 こんなの作るがらじゃないよね。

 でも、今はもう少しだけ……落ちる涙をそのままに。

 

 私はドーナツの入った袋を拾い上げると、穴から校舎を覗いた。

 それは少しだけ寂しげな世界だった。

 食べちゃえ。

 私は物凄い速さでドーナツを食べた。

 寂しい世界は私の胃袋の中に入った。

 食べちゃったから。

 あなたへの気持ちも、好きで好きでたまらない気持ちも。

 だから……きっと、次にドーナツから覗く世界は楽しい世界になるはずだよね。

 私は少しの物悲しさと一杯の希望を背中に乗せて校舎へと歩いて行った。

 

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この記事のコメント

No.912
まいど~
本当、純愛路線で可愛いじゃないですかぁ
手作りドーナツなんて貰ったら私なら嬉しくて泣いちゃうかドーナツちゃうか知れませんw
穴から覗いた景色に、心に穴が空く事なく新しい世界が見えて甘酸っぱい青春の初恋を思い出しますよ~◎

まぁ兎にも角にも、ミスドのドーナツ食べたくなってしまいました(名前わからんけどチョコとか穴空いてないのね●)
ではまた
2008-06-24 Tue 01:25 | URL | ヒポユキ #-[ 内容変更]

No.913 ヒポユキさんへ
まいど~^^
はいw 今回は純愛路線ですよ~
書いたのが大分前なので、読みづらいところもあるかも知れませんが、ご了承くださいね~^^
手作りドーナツでも何でも好きな子からもらったらやっぱり嬉しいですよねーw
はい^^ 青春風味の食べ物シリーズを目指してますよ~w

ヒポユキさんのコメントを読ませてもらっていたら、雪もミスドのドーナツが食べたくなってきました~
ではではw
2008-06-24 Tue 23:13 | URL | 小米雪 #2zzHlsOw[ 内容変更]

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