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ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No  278

ココア

 私の彼氏はココアです。

 甘くて、温かくて、何でも溶かしてくれて……ちょっと日焼けして色が黒いところも。

 よく人に、

「あなたは牛乳みたいね」

 って言われます。

 何でも……栄養があって、真っ白で、元気が出るんだそうです。

 自分の中ではココアと牛乳っていい感じじゃん。

 とちょっと喜んでいます。

 

「なぁ……」

 私の家に遊びに来ていた私の彼氏である先輩が言った。

「如何したの?」

 私は何故か固まっている先輩の目線を追った。

 その先には自分でも忘れかけていた過去があった。

 ……元彼の写真。

「あっ……」

 私はしばらく言葉が見付からなかった。

 その写真たては、部屋の一番隅で自分でもそんな写真を飾った事すら忘れていた。

「それって……」

 先輩は言葉を濁し、頭をかいた。

 これは先輩の困った時の癖だ。

「えっと……」

 いつもみたいに言葉がでてこない。

 捨てるの忘れてただけだから。

 気にしないで。

 そう言えばいいだけの言葉が。

 しばらく沈黙の時間が過ぎた。

「悪い……俺、帰るな」

「あっちょっと!」

 私が止めるのも聞かず、先輩はそれだけ言うと部屋を出て行った。

 怒ったかな?

 先輩はもともとあまり喋る方じゃない。

 それだけに表情が顔に出てよく分かる。

 今の表情は……怒ってた。

 こんな写真一枚で……

 私は写真を恨みがましく睨みつけた。

 写真の中の私は笑ってる。元彼だって笑ってる。

 この写真をとった時、まさか彼に他に好きな人がいるとか思っても見なかった。

 彼氏に振られた私は先輩に慰めてらった。

 温かい人でいつの間にか好きになってた。

 元彼の写真を見ても、頭に浮かぶのは先輩のこと。

 気がつかないうちにこんなに好きになってたんだ……。

 明日、謝ろう。

 きっと許してくれるよね。

 

 次の日いつも昼ごはんを一緒に食べてる場所に先輩は来なかった。

 どうして……?

 前の彼氏の写真がそんなに許せない?

 ふと廊下を見ると歩いてるのは先輩だった。

「先輩!」

 私は思わず声を上げた。

 先輩はちらりとこっちを見るとクラスメイトの女の人と行ってしまった。

 無性に泣き出したくなった。

 悲しいのではなくて、情けなくて。

 私、そんなに信用ないのか……。

 ココアみたいな先輩だけど、今のはまるでレモンティーだ。

 周りの人には美味しくても、牛乳の私だけは分離してしまう。

 レモンティーにミルクは一緒に入れない。

 あの女の人に先輩取られちゃうのかな……

 ふと目から涙が落ちた。

 元彼に振られた時に泣いてから、涙が出た事はなかった。

 別に嫌なことが無かったとかそんな事じゃない。

 ただ――実は弱くて泣き虫な私を、先輩は泣く暇が無いぐらい笑わせてくれていたから。

 先輩といれば涙なんかいらないと思ってたのに……

 私は机にうつ伏せになって泣いた。

 泣いてる顔なんて誰にも見られたくないから、泣いてるなんて気づかれたくないから。

「何泣いてんだ?」

 頭の上で不意に声が聞こえた。

「せ、先輩!」

 さっき人の前を堂々と無視して通って行った先輩が、目の前にいる事に驚いた。

「何で泣いてんだ?」

 先輩はとぼけた顔でそう聞いた。

 何でって……

「さっきは悪かったな。急にクラスの子に呼び出されたんだ」

 先輩は頭をかきながらそう言う。

 連絡だってくれなかったくせに、私のこと怒ってるくせに……

「今日携帯忘れたから、連絡取りようが無くて……」

 いつもは無口な先輩が一生懸命喋ってる。

「先輩、昨日の事怒ってないの?」

「昨日って……? 何かあったか?」

 これには私が驚いた。

「私の家に来た時に元彼の写真見つけて……」

「……あれ、兄ちゃんじゃないの?」

 絶句。私の涙返してくれ。

「じゃあ、何であの後いきなり帰ったんですか!」

 私は怒鳴りつけるように言った。

「だって……お前が甘いもんばっかりだすから、ちょっと気分が……」

 先輩はばつが悪そうな顔で言った。

「……先輩甘い物嫌いなんですか?」

「あんまり……」

 先輩の声が少し小さくなったような気がした。

「じゃあ何で食べたんですか! 先輩がバクバク食べるから私てっきり……」

 嫌いなら嫌いって言ってくれたら作らなかったのに……

 先輩が家に来るから張り切って朝から作ったのに……

「だって、お前が作ったんだろ? あれ」

 先輩はあっけらかんとそう言った。

 私はしばらく何も言えなかった。

 そして急に笑い出した。

 この人は馬鹿だ。

 でも、たまらなく愛しい。

 少し照れて赤くなる先輩の横顔を見ながら私は、「やっぱり先輩といると涙なんかいらないな」と心からそう思った。

 

 私の彼氏は甘い甘いココアです。

 

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この記事のコメント

No.914
まいど~
ココアは甘いですよね~
子供の頃はココア大好きでしたがいつの間にかコーヒー牛乳になってました
私は牛乳飲まないので給食の時間が一番嫌でしたよ~先生見回り来た時に牛乳瓶に口付けて飲むふりして半べそでしたw
先輩って響きが鼠先輩みたいで頼りになりますよね~

まぁ兎にも角にも、明日またカラオケに行くので鼠先輩歌おう!
ではまた
2008-06-25 Wed 00:06 | URL | ヒポユキ #-[ 内容変更]

No.918 ヒポユキさんへ
まいど~^^
ホント、ココアは甘いですよねw
雪は未だにココア大好きですよ~
牛乳飲まれないんですか?
雪は割合好きな方なんで、普通に飲んでいましたが、嫌いな人からすると匂いからして駄目なようで^^;
鼠先輩……ポッポー(笑)

カラオケいかがでしたか~?^^
ではではw
2008-06-26 Thu 21:50 | URL | 小米雪 #2zzHlsOw[ 内容変更]

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