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ブルームーン 迎えに行くから
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ブルームーン

ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No  404

迎えに行くから

クリスマスも近づいてきましたよね。
クリスマス小説ももう少し書こうかなぁと、またまた書き下ろしの短編を書いてみました。
ロンド形式って言うんでしょうか? 主人公の違う全く別の小説を繋げていって一周できればと思っているのですが、最近書くペースがありえない程遅いので、クリスマスまでに何所までいけるかは疑問です^^;
ではでは、お暇がある方はお付き合い願えると嬉しいですw

小米雪

 




『迎えに行くから』

「もしもし? 俺、俺!」

『何? 詐欺かなんか?』

「ちげーよ、お前みたいな奴に詐欺なんかやるか!」

 同僚と飲んでいて、彼女の声が聞きたくなった。

『如何したの? 急に……。仕事じゃないの?』

 電話口から彼女の困惑した声が聞こえる。

「仕事終わってさ……同僚と飲んでたんだ」

『ふーん。同僚って女の人?』

「あー……でも別に何でもないから」

『態々そう言うあたりが怪しいよ』

 彼女の訝しげな声が耳にこそばゆい。

「この間はさ――」

『もういいよ。仕事なんでしょ?』

 俺の声を遮って彼女が怒ったような声を出す。顔が見えない分、声の表情が耳にダイレクトに伝わる気がする。

 クリスマスが近づいてきた。

 予定を聞きただす彼女に、俺が面倒くさそうに答えた。

――クリスマスなんかただの平日だろ?

 その考えは今でも変わってない。唯、今彼女に電話をかけたのは、同僚の言葉があったからだ。

――クリスマスが特別かなんて如何でもいいの。特別か如何かじゃなくて、特別にしたいの。

 そう言った同僚の言葉に、二年前のクリスマスを思い出した。

 俺の人生で一番最悪のクリスマス。大好きな女がいた。好きで好きでたまらない女がいた。彼女のためならなんだって出来た。そんな彼女がクリスマスに一緒に過ごしてくれるというから、俺の給料では到底手に届きそうもないホテルのディナーを予約して、何時もとは違ったファッションで、大きなツリーの前で待ち合わせをした。輝くイルミネーションが今思えば憎らしい。待ち合わせの時間になって、白い吐息がもれる中、何時間も待ち続けた。何時しかイブの夜はクリスマスの朝になっていて、寂しさのあまりウサギじゃないけど凍死してしまいたかった。

 そんな時、ふと横に立ってたのは今の彼女だった。

――何やってんの?

――見てわかんない?

――わかんないから聞いてんの

 きょとんとしながら、椅子で項垂れる俺の顔を覗きこむ。お前みたいな女に何が分かる。俺が待ち合わせしていた女性はお前なんかとは比べものにならないようないい女だったんだ。俺と過ごしてくれるって言ったんだ。だから、ディナーも……彼女が望むならホテルの部屋だって……でも、でも……

――ふーん……振られたんだ?

 無神経な女だ。だから、お前に何が分かる? クリスマスイブの夜を、聖なる夜を一人で、しかも外で! 過ごした俺の気持ちなんて誰にも分からないさ! 

――馬鹿みたい!

 何が言いたい! お前なんかが……もう放って置いてくれ!

――こんなに冷たくなっちゃってさ……

 それでも、俺が待っていたかったんだ。後五分、後五分待てば彼女が現れるかも知れない。そう思うと、如何してもその場を離れられなかった。

――ねぇ、これ食べる?

 クリスマスの朝に、何でお前は肉まんなんか持ってんだよ! 意味分かんねぇよ!

――温かいよー

 そう言って笑ったこいつの顔が妙に温かくて、俺はゆっくりと肉まんを受け取った。

――温けー……

――でしょ? ねぇ、一緒に帰る?

――はぁ? 何で?

――うーん……だって、寒いでしょ? それに、クリスマスだし!

 そう言いながら俺の手を掴んだコイツの手がありえない程温かかった。多分、今まで肉まんを握ってた所為だ。だが、その温もりが嫌じゃなくて、思わず握り返した。

 あぁ、思い出した。だからコイツと知り合ったのだ。

『ねぇ、聞いてる? どうせ仕事なんでしょって!』

ボーっとしていたので気付かなかったが電話口では彼女が怒鳴るに近い声で話していた。正直うるさい。

「仕事だよ。だって平日じゃん」

『じゃあ、何? ご機嫌取りならいらないよ……』

 いらないと言いつつ、声は寂しそうだ。

「仕事だからさ、外で待っててよ。定時には終わらせるからさ」

『はぁ? 嫌だよ、寒いじゃん』

 笑うほどに思った通りの反応を見せる彼女に、

「あぁ、寒いからさ……その日は一緒に帰ろ? 肉まん買って行ってやるから」

 と少しはにかみながら言った。

『……肉まんくらいで誤魔化されないから』

「でも、一緒に帰るだろ? それにクリスマスだし」

『……クリスマスなんか平日だもん』

「平日だから待ってて。ちゃんと迎えに行くから」

『あんまり遅いと、勝手に帰るから』

「うん」

『肉まん持ってきてくれないと凍えちゃうから』

「うん」

『寂しくさせると死んじゃうから』

「……絶対に行くから」

 俺がその言葉を吐いた瞬間に、電話の電子音が流れる。

 無機質なその音が寂しくて、電話から耳を離した。

 仕方がないから、迎えに行こう。

 クリスマスとかいう平日には誰かが迎えに来てくれないと家に帰れないやつが一杯いるから。

 

 

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この記事のコメント

No.1290
まいど~
最近私はクリスマスは最近では大した特別じゃない気がしてきましたよ~
それじゃダメじゃん、春風亭昇太ですw

まぁ兎にも角にも、ここ2日間でクリスマスに何とか雪が間に合いました~サラッとだけど白い布をかけられたように、空も空気読みました
ではまた
2008-12-23 Tue 09:33 | URL | ヒポユキ #-[ 内容変更]

No.1291
彼女さんかわいいですね~(^^)アタシはこーゆー子好き★
アタシもこーゆーはにかんじゃうような恋したいです~(笑)
2008-12-23 Tue 14:29 | URL | あぁや #-[ 内容変更]

No.1292
今年も,終わりますねー。長い付き合いでした。思い出が、一杯詰まっています。
雪さんの人柄は、最高の、美しさです。!
友人の、ヒポユキさんは面白い知識人で、苦しいときに、笑を頂き、元気になることが多かったです。良い友達です。人が楽しむときに、働く、天邪鬼ですので、大掃除をいたしました。今風呂に入り、一杯飲んで、挨拶状を書いています。来年も、よろしくねー。!!
2008-12-24 Wed 15:35 | URL | 荒野鷹虎 #-[ 内容変更]

ヒポユキさんへ
そうですねー。うちの学校でも男の子は結構そういうことを言いますよ~w
女性に比べて男性はイベントごとに興味が薄いのかもしれませんねー^^

ホワイトクリスマス良いですねーw
大阪も雪が振ればいいのですが……
大阪の空も空気を読んでくれることを祈っております(笑)
ではでは


あぁやへ
はにかんじゃうような恋2009年はしてみたら?
但し、某先輩と別れてからでお願いします(笑)
うちも頑張りますw


荒野鷹虎さんへ
今年も本当に後少しですよね^^
今年一年有難うございました。
鷹虎さんのコメント、本当に何時も感謝しておりますw
いえいえ、其処まで褒められると照れてしまいますw
鷹虎さんも大変聡明な方で、何時も勉強させていただいておりますw
ヒポユキさんにも何時もコメントを頂いて、自分とは年代の違う方々からのお話を沢山聞かせていただいて、とてもありがたいです^^
雪も大掃除しなきゃいけないのですが……
はいw
来年もよろしくお願いしますw
ではでは

2008-12-25 Thu 00:19 | URL | 小米雪 #2zzHlsOw[ 内容変更]

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