キーワード出現率
ブルームーン パンドラの甲5
FC2ブログ

ブルームーン

ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

別窓 | スポンサー広告
∧top | under∨
No  473

パンドラの甲5

パンドラの甲5

「50%……」
私は桜木カウンセラーの言葉を繰り返した。
正直、そこ確率が高いのか低いのかが全く分からなかった。
今の現状として子どもがいないからそう思うのかもしれない。お腹の中に赤ちゃんが息吹いていたら、その確率を恐怖と感じるのかも知れない。それでも、その50%が私がこの手から逃れられない確率を示しているようで、言葉が胃の中に溜まっていくのが分かった。
「半分の確率って言われても分からないですよね」
桜木カウンセラーは私の気持ちを優しくくみ取り、ふんわりと笑った。
あぁ、似てるなぁ。あの時の男の子に。
私はぼんやりと過去に思いをはせる。
自分みたいな女と付き合ってくれている彼氏がいるのはもちろん分かっている。愛しているし、愛されている。そんな恵まれた状況にいるのが分かっていても尚、過去の――それも小学生のころの嬉しかったことがこれほどまでに心に引っかかる。それほど、当時の私は傷ついていたのかも知れない。
その女の子の名前を覚えていますか? 
どこの小学校ですか? 
その子は今どこにいますか?
尋ねてみてもいいのだろうか。下心付きの感情が頭にふわふわと浮かぶ。
もしかすると、その子は私ではないですか?
そう口に出したい衝動と、朝まで一緒に過ごしていた彼氏の温もりが天秤の上で揺れる。
正直、自信がないのだ。目に見えているものとはいえ、彼氏に伝えていないことがある。話したら離れて行くかも知れない。嫌われるかも知れない。嫌な思いをさせてしまうかも知れない。だから言えない。
もし……もし、だ。この目の前の男性があの時の男の子で私に少しでも気持ちを持ってくれたら、全てを分かってくれた上で、色んな関係をスタートできる。勿論失恋する可能性があるのも分かっているし、そこまでうぬぼれている訳ではない。それでも、無条件に受け入れてもらえる。そういう感情を私は今までの人生で両親以外からもらったことがないのだ。それが得られたら、私はどんなに幸せだろう。
そう思うことが、私の頭の中の天秤をさらに揺らした。
「ご出産の予定があるんですか?」
桜木カウンセラーは尋ねる。
「えっ!?」
「いえ、凄く悩んでらっしゃったみたいなので、もしかしてお子さんがいらっしゃるのかと……」
「あっ、いえっ、そんな訳では……」
あなたのことを考えてましたとは言える訳もなく、自分の馬鹿な思考回路に顔が赤くなるのを感じた。
「他に聞きたいことなどございませんか?」
聞きたいことはある。だが、それを口に出した瞬間自分の中で失うものがある。
「……」
「どうかしましたか?」
桜木カウンセラーは心配そうにのぞきこんでくれる。そんな仕草をポジティブにとらえてしまう自分に嫌気がさす。
ドクッドクッと心臓の音が聞こえることが心地いい。
「その手の……私と同じ手を持つ女の子は今どうしていますか?」
私は少しの不安と期待を込めて、その一言を口に出した。

パンドラの甲6へ続く

スポンサーサイト

別窓 | パンドラの甲 | コメント:0 | トラックバック:0
∧top | under∨
<<パンドラの甲6 | ブルームーン | パンドラの甲4>>

この記事のコメント

∧top | under∨
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック

∧top | under∨
| ブルームーン |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。