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ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
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No  474

パンドラの甲6

パンドラの甲6

「その手の……私と同じ手を持つ女の子は今どうしていますか?」
私は少しの不安と期待を込めて、その一言を口に出した。

その言葉に桜木カウンセラーは目を丸くして見せた。話が大分前に戻ってしまったことが意外だったのだろう。
少しの沈黙は、私の心臓の音をより一層強くさせる。余計なことを聞かなければよかった……。たった30秒程度の沈黙で私はもう後悔をしていた。
「えっと……その女の子ですよね。元気にしています。3人の子どもを産んで、一人は彼女と同じ手を持っている男の子ですが、何時も凄く楽しそうです。相変わらず気は強いですけどね」
次は私が目を丸くする番だった。
桜木カウンセラーの話を聞いて、勝手に話の中の少女は自分だと思い込んでいた。
カアッと顔が急激に赤くなるのを感じる。素直に恥ずかしかった。
「……お詳しいんですね。今でも交流が?」
苦し紛れにそう返事を返した。
「はい――   」

頭がふわふわしていた。
桜木カウンセラーの言葉が何回も繰り返される。どうやって病院を出てきたのかは分からないが、気がつけばそこは病院近くの喫茶店であった。
携帯電話を取り出して、表示画面に彼氏の名前を出す。通話ボタンを押すと、聞きなれた呼び出し音が響く。数回目のコールで向こうから、「もしもし」と男性にしては少し高めの声が聞こえた。
「もしもし、孝明? 今大丈夫?」
『ん? 大丈夫だけど。美香が出かけてからゴロゴロしてただけだし』
「そっか……出来れば会って話したいから、今から行っていい?」
『朝の片づけしてないから、汚くても良ければどうぞ』
「ありがとう。30分くらいでつくから」
『ん。了解』
「孝明……ごめんね」
聞こえるか聞こえないか分からないくらいの音量でそう呟くと、通話を終了した。

しばらくして、孝明の家に着く。チャイムを押すとすぐにドアが開く。あまりの勢いに少し驚かされた。
「ドア開くのが早いからびっくりした」
私はそう言ったが、孝明の表情が硬い気がして、黙った。
取りあえず入れてくれたコーヒーに口をつけながらソファに腰掛ける。朝の残りのコーヒーなのか若干苦い。
「話って何?」
孝明は相変わらず少し表情が硬いままそう言った。
「今日病院に行って来た」
私はストレートに言葉を発した。
「病院?」
「うん」
「まさか子ど――」
「違う!」
「あっ違うんだ」
孝明は微妙な表情を見せてそう言った。喜んでいる様にもがっかりしている様にも見えて、私はいい方にとることにした。
「見たら分かることだから話すけど……私の手ね父親からの遺伝なの」
「……へぇー。湿疹か何かだと思ってたけど」
「痛くもかゆくもないんだけど、遺伝性の病気なんだって」
「そう、なんだ……」
即答されない言葉が私を脅かす。いら立ちとは違う焦りの様な感情がお腹に溜まっているのが分かる。
そう、私は怖かったのだ。

パンドラの甲7に続く


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