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ブルームーン 居場所を探して 2
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ブルームーン

ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No  54

居場所を探して 2

この記事は「居場所を探して」の続きになります。


私はこいつ何を言い出すのだと思い目を丸くした。
いや、本当にあの時は驚いた。
雪としては期待していた訳ではないが、月並みな言葉が口から出てくると思っていたのだ。
「止めなよ。生きてるといいことあるよ」
とか
「もう少しだけ頑張ってみたら?」
なんて言葉が出るものだと思っていた。
実際、雪が友達に目の前でそんなことを言われたらそういうだろうと思うのだ。
しかし、彼は「いなくなれば?」と言ったのだ。
その後がまた驚きだった。
「いなくなれるわけないやろ? 簡単に言わんといて」
と少し怒りながら言った私に彼は、
「今、財布にはいくら入ってるの?」
と言いだした。
もう一度目を丸くする。
いなくなることと、財布が如何関係あるんだ。
私は頭にクエスチョンマークを浮かべながら、財布を開き、
「2000円ちょっと」
と言った。
彼はその反応ににっこりと笑い、
「じゃあ、片道1000円くらいのところやったらいけるな!」
と言った。
私がえっ? という顔をしていたのだろう。彼は私の方を見ながら、
「いなくなりたいんやろ? この場所が嫌なんやったらどっか行ったらいいやん」
と言う。
「できるわけないやん!」
本当に何を考えてるんだと私は彼を怒鳴りつけた。
「できるって。雪がすることは1000円分の切符を買うことだけやで? 後は電車がその場所まで連れてってくれるやん」
彼は怒鳴っている私をさほど気にすることもなく、そう言った。
あっけらかんとそういう彼に私は何だか本当に何処かへ行くことができるような気がして来た。
あまり深く考えない自分は単純だったのだろうと今はそう思う。
あんなに思いつめていたのに、彼の一言で私の頭の中には人生で初めての逃亡計画が始まっていたのだ。
当時買ってもらったばかりの携帯電話と財布だけを小さな鞄に詰め込むと、何も考えずに家を飛び出した。
あの時に見た夕方の空を私はきっと二度と見ることはないのだろう。
今でも空を見上げてはそう思っている。


「居場所を探して 3」へ続く。


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