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ブルームーン 居場所を探して 4
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ブルームーン

ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No  56

居場所を探して 4

この記事は「居場所を探して   」 の続きになります。


意味も無く歩き続ける道は、何時しか少しの光も無くなって、闇に包まれていた。
飛び出してきたので、お金も食べるものもなく、この飽食の時代に私は空腹と戦っていた。
そんな時、家にいる頃の自分の恵まれた状況を思い出した。
部屋に引きこもっていても、お腹を空かせて部屋から出れば、母親が何らかの食べ物を与えてくれた。
家を出るということは今までもらっていた恩恵も全て捨て去ることなのだと思った。
お腹は空いたし、足は疲れていたが、なんとなく家に帰ろうとは思わなかった。
今家に帰ってもまた部屋に引きこもって終わってしまう気がしたのだ。
その時確か時間は九時を回っていて、本当に自分は何をしているのだと頭の冷静な部分が考えていた。
何時しか見えていた田んぼも無くなり、今時こんな場所があるのかというくらい何もない場所へとたどり着いていた。
何時間歩いたか分からなくて、近くにあった石に腰を下ろした。
ぼこぼこしていて少しお尻が痛かったの覚えている。
ボーっと空を見上げる。
季節は夏になる前で、夜の空気は少し肌寒かった。
ふと鞄に手を差し込むと、携帯電話がブルブルと震えていた。
電話か? と思い液晶を見ると、母の名前が書いてある。
私はピッとボタンを押すと、
「もしもし?」
とそれだけ言った。
「あんた今どこにおんの?」
母は少しとがめるような声でそう言った。
「ん」
私は母に返事とは似ても似つかぬ声を出す。
「お腹空いてないの?」
母は心配そうにそう尋ねる。
「ちょっと空いたかな」
今度は真面目に返事をした。
「帰ってくんの?」
「……分からん」
私は素直にそう言った。
「そう、じゃあ明日には帰ってくんねんな」
何故か母は「分からない」といった私にそう言い切ると、じゃあねと言って電話を切った。
「帰ってくるの?」とは尋ねても「帰って来い」とは言わない。
その時はそんな母に寂しさを覚えたが、今思えばあの時ああいった母は凄いなぁと感心する。
きっとあの時の私は帰って来いといわれると反発して帰らなかっただろうから。
暫くして私は石から立ち上がりまた歩き始めた。
どこかに泊まるお金なんて持ち合わせてないし、もしあったとしても中学生一人で泊めてもらえるとは思えない。
だからといって家には帰りたくないので、私は人生で初の野宿を決め込んだ。
野宿なんて軽く言うが、その辺の道端で転がっている訳にはいかず、どこか公園にベンチでもないだろうかとキョロキョロしてみたが、そんなものが無いのは今まで歩いてきた自分が一番よく知っている。
はぁとため息を吐いてみても、解決する訳もなく、私はまた歩き始める。
そんな時だ、暗闇からチラチラとライトが見えて、私は思わず隠れた。
時間はもう直ぐ終電がなくなるような時間で、中学生が歩いているにはあまりにも物騒な道。
ライトの正体は自転車で、目つきの悪そうな(実際如何だったかは分からないが、その時の雪にはそう見えた)おじさんが乗っていた。
唯、問題はそのおじさんがお巡りさんであったということだ。


「居場所を探して5」へ続く。

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この記事のコメント

No.266
おぉ。母親が凄い。
いぁ、なかなか言える言葉じゃないと思うな。うん。
母親って結構心配性だと思うし。
シンの母親は心配性だった。
2007-12-23 Sun 13:17 | URL | 見習猫シンΨ #ap6q.jK2[ 内容変更]

No.270 シンさんへ
確かにお母さんは心配性ですよね~^^
何所のお母さんもそれはそうだと思いますよ。唯、雪の母親の場合、雪の性格を熟知しているので、逆にそういえば帰ってくるんだろうってことが分かってたのかも知れません。
2007-12-24 Mon 01:14 | URL | 小米雪 #2zzHlsOw[ 内容変更]

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