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ブルームーン 学ランと私 5
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ブルームーン

ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No  78

学ランと私 5

この記事は「学ランと私」    の続きになります。

好きな人の好きな人というのは気になるもので、それは雪も例外ではなかった。
卒業を控えて、もう会えないというわけではないのだが、やはり人生タイミングというものがあるので、雪は焦っていた。
唯、気持ちは焦っているのだが、行動は如何もかみ合わないもので、早い話が空回りをしていた。
しかし、恋というのは怖いものである。
全くの他人である彼をいつもいつも目で追っているうちに、よくあることだが、気がついてしまったのだ。
雪の中で一番最悪な結末に。
彼の視線に誰がいて、彼がなぜ自分の近くによくいるのかを。
彼の視線の先には……雪に一番協力をしてくれていたある友達がいたのだ。
それに気がついた瞬間、雪の中で彼の不可解だった行動が全て繋がってしまった。
如何して、あの文化祭の準備で彼は自分の準備をほったらかしてまで、色塗りを手伝ってくれたのか。
それは雪の近くにあの友達がいたからだった。
如何して彼は耐寒学習の前日雪の手作りお菓子を受け取ったのか。
それは食べるように進めたのが雪の友達だったから。
いつも話をしていると近くに来てくれて、何故か気がつけば近くにいてくれて、雪が嬉しいと思っていたことも、全部全部あの友達がいたからなのだ。
目の前が暗くなる、というのはああいうことを言うのだろう。
いや、本当はもっと早くから気がついていたのだろう。
彼が雪の友達を好きだと。
でも、気がつかないでいたかったのだ。
それほどまでに諦めたくなかったのだ。
そして、彼を好きで、好きで……。
馬鹿みたいだと涙も出なかったのを覚えてる。唯、全部気がついてしまって、呆気にとられて、如何すればいいのか分からなかった。
そして、彼が友達を好きなことを知っていて、それでも嫌いになれない――いや、好きだと思ってしまう自分は相当な馬鹿なのだろうと妙に納得した。
結局、雪の選択肢が玉砕するであろう告白を選ぶことはなく、卒業の日を迎えた。
中学生活長かったな、とそれなりに涙を溜めて卒業式を行なった。
中学で一つだけやり残したことがあるとすれば、彼のことだった。
卒業式が終わり、後輩や保護者、同級生が入り組む運動場で雪は彼を見つけた。
友達は雪に、
「第二ボタンもらわなくていいの?」
と少し面白そうにそう言った。
雪の僻みであるということは分かっているのだが、その言葉がひどく残酷で、卒業式で流した涙がぶり返してきたのを覚えている。
「何泣いてんねん」
その時、彼は卒業証書で雪の頭を叩いた。また、こいつはこんな少女漫画のようなことをするんだと、泣き喚いてやりたくなった。
「煩い!」
雪が睨むと、笑いながらポカポカと頭を叩き続ける。友達は気を利かせて何処かへいってくれたのだが、彼からするととんだ誤算であっただろう。
「残念やったな、あの子あっち行って」
雪はにやっと笑いながらそう言ってやった。少しだけ強がりを言いたかったのだ。そうでもしないと、本当に泣き喚いてしまいそうだった。
「なっ!」
彼は驚いた顔で雪を見た。卒業証書は雪の頭の上で止まっている。ばれてないと思ってたのか! ザマアミロ! 言ってやった。と少しむなしくなりながらも、もう一度笑って、雪は一つだけわがままを言った。
「なぁ、お守りにボタン頂戴!」
「はぁ?」
「あんたが受かってる高校、うちも今から受けんねんから、ボタン頂戴。願掛けに」
好きだからとは言わなかった。
そして、彼も深く詮索しなかった。きっと雪の気持ちなんてばれていたのだろう。彼は分かっていて気がつかない振りをしていたんではないだろうか。あの友達を好きだったから。
「ええけど、何番目?」
彼は自分のまだ誰にもあげてないボタンを見ながらそう言った。
「……一番上」
本当ならば、第二ボタンと言いたかった。でも、言えなかった。
彼の学ランの一番上のボタンが取れた。残っている第二ボタンを見て、少し悔しくなったが、雪にだって意地があったのだ。
くだらないと吐き捨てられるほどの意地だが、取れた第一ボタンの場所と残っている第二ボタンの場所、そして彼の心臓の位置を見て、自分はこの位置なのだろうと思った。
心臓から少し遠い第一ボタン。
彼からの雪への気持ちも丁度この位置だったのだろう。
初めて経験した失恋は頭と心がグッと締め付けられるようで、辛かった。
青春の甘酸っぱい思い出は今でも恋をするたび思い出す。
あれが、自分の本当の初恋だったのだと。

学ランと私・完

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この記事のコメント

No.192
初恋は オラも実りませんでしたわ・・・

でもおかげでたくさんの思い出をおもいだしました^^*

オラ、誰かから ボタンもらったんだけど
その「誰か」をおもいだせない・・・。
誰だろ・・・。

たぶん どうでもいいひとが無理矢理くれたよーな・・・?
2007-11-28 Wed 01:06 | URL | ヨヨ子 #-[ 内容変更]

No.197 ヨヨ子さんへ
初恋って不器用すぎて実らないんですかね~

如何でもいい人が無理やりボタンを……
くれた人の方がヨヨ子さんのこと好きだったんじゃないですか?
でも、如何でもいい人にもらってもちょっと困りますよね^^;
2007-11-28 Wed 21:26 | URL | 小米雪 #2zzHlsOw[ 内容変更]

No.285
ヨヨコさん、それ面白いな……。
てか、かわいそうだな(汗

雪さんの初恋読んだ。
なんか、ドラマみたいだね。
シンは卒業式終わったら、人嫌いだったから、即行いなくなったww
だから、卒業式の思い出もないww
2007-12-29 Sat 15:02 | URL | 見習猫シンΨ #ap6q.jK2[ 内容変更]

No.288 シンさんへ
実際はドラマチックな場面ばっかりでもなかったですけど、今思い出すと少女漫画みたいでしたよ(笑)雪の友達はまた別の人が好きで、皆見事に片思いだったんですけどね^^;

人嫌いなんですか? ブログやコメントとかでは全く分からないですよー。
でも、卒業式自体の思い出が無くても、卒業式の帰り道で何考えてたとか思い出すだけでも、「あー懐かしい」ってなったりしますよ^^

2007-12-29 Sat 15:14 | URL | 小米雪 #2zzHlsOw[ 内容変更]

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