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ブルームーン kiss?手の上に尊敬のキスを?7
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ここでは小米雪の普段の生活で気になるお話をエッセイ形式で書き記していきますw
No  99

kiss?手の上に尊敬のキスを?7

うーむ、思ってたよりも長くなってきちゃいました……10回までに終わらせたいと思ってるのですが、どうなることやら229(コレッ!)

この小説は「kiss?手の上に尊敬のキスを?」     の続きになりますw

「kiss?手の上に尊敬のキスを?7」


 

「ふぅ……やっぱり覚えてないか……」

 スバルと離れた後、アンバーは王宮の庭を歩いていた。

 ふとアンバーは桜の木を見つけて懐かしそうに手を添えた。

 思い出すのは十年前彼が初めてアルデバランの土を踏んだ時のことだ。

 

「――ここが平和の国か……」

 十年前、アンバーは国王である父アポロンとの口論で家を飛び出していた。

 小さな身体で走って走ってたどり着いたのは、リゲルとアルデバランとの国境であった。

 門番が構えているのは形ばかりで、リゲルの商人達もアルデバランへ自由に出入りしている。こんなに横着な警戒態勢でこの国はいいのだろうか、とアンバーは子供ながらに思ったものだ。ふと、アンバーは自分自身もアルデバランへ入ってみたいという誘惑に取り付かれた。

 一応自分がリゲルという国の名前を背負った子供であるということは理解している。それを理解しているのならば、他の国の敷居を軽々しくまたぐことなどできない。アンバーはそれを痛いほどに分かっていた。

しかし、次期王の椅子に座るのは如何考えたって自分より二歳上の兄である。それなのに、何故……? 何故自分は継げもしない国というものに縛られなくてはいけないのだろうか。

 ふっとリゲルは自分を嘲笑うかの様に口を歪ませた。仕方の無いことだ。その様な家に生まれてしまった自分が悪いのだ。そう、生まれるならせめて長男になりたかった。それならば、両親からの無償の愛と王の椅子は約束されていたというのに。

 アンバーの母は側室であった。リゲルの国は一夫多妻制で、アポロンは戦いと同様に女好きとして知られていた。アポロンの側室は自分の母を合わせて五人ほどいたが、子を宿したのは母――へーラーと正室である女であった。

 正室同様男児を出産したへーラーであったが、その扱いには酷い違いが存在した。

 一人だけ子を宿した側室として、他の側室からは疎ましがられ、嫉妬の眼差しを向けられた。正室であるメリノからは嘲笑うような眼差しを向けられる。

 そして、彼女はその視線に耐えられず人知れず壊れていった。彼女の支えは何時しか愛息子であるアンバーのみとなり、アンバーが自分の言うとおりに成らないことを酷く怒った。アンバーはそんな生活の中で自分自身を押し殺し、時には母から与えられる理不尽な暴力とも戦っていた。

 飛び出したのは他でもない、アポロンが彼の母親について話を始めたのである。

「アンバーお前の母親をお前は如何思う?」

 突然アポロンが口にしたのはそんな言葉だった。

「如何といいますと?」

「お前の腕や足にあいつにやられた傷跡があるのは分かっている」

 アポロンのその言葉にアンバーはくっと口をきつく結んだ。

「そんなものはありません」

「……仮にもお前は私の息子だ。リゲルの名前を背負っている。そんな子供が何時までも人様の前に出ず、母親に縛りつけられていることがいいわけはなかろう」

 アポロンは心底疲れているような声を出しながらそう言った。

「だからなんだというのです?」

 アンバーは好戦的な目をアポロンへと向けた。

「お前の目、そこだけは私に似たようだ。……お前の母親を田舎へ――実家へと帰そうかと思う」

「何を!」

 アンバーは目を見開き、その後父親を睨み付けた。

 冗談じゃない。母がいなくなった後、自分に如何しろというのだ。今まで全ての出来事を母の言うとおりに、母の思うとおりにこなしてきたというのに。

「あの女は元々下町生まれ。その器量に惚れこみわしが連れてきたのだが、如何もあいつに王宮の雰囲気はあわなかったようだ。他の側室とも口を利かず、仕舞いには部屋に閉じこもってしまった……。あいつにも困ったものだ」

 淡々とそういうアポロンにアンバーは殺意にも近いものが芽生えていた。

 母親が他の側室と口を利かないのは、部屋に閉じこもって出てこないのは……誰の所為だ? 他でもない、目の前の男の所為である。

 この男が、母に子が生まれたことで他の側室を蔑ろにし、その所為で母は嫉妬の眼差しを一人で受けなければならなかった。それなのに……

「あんまりです」

 アンバーは小さく声を漏らした。

「――もう決ったことだ」

 アポロンもまた小さくそう言った。

「そんな……! 嫌です! 俺は――」

「立場をわきまえろ! お前はこの国の王子だ! 泣き言などは聞かぬ!」

 ピシャリとそう言い切った父に何も言い返すことはできず、アンバーは口を固く結んだまま、王宮を飛び出した。

 アンバーの後ろを追ってくるものは、王宮の兵士でも、アンバーの付き人でも、母のへーラーでもない。唯、それは途轍もない恐怖だった。

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この記事のコメント

No.253
ふむぅ お兄ちゃんが死んじゃったら
形成逆転・・・

大奥とかだと 正妻じゃなくても
世継ぎ候補生んだら デカイ顔してるけど

光源氏のママみたく 周りの重圧に
耐えれない女性もいそうですねー><
2007-12-19 Wed 05:02 | URL | ヨヨ子 #-[ 内容変更]

No.257 ヨヨ子さんへ
その手があったか!(笑)
アンバーの兄弟話もそのうち書いていきたいんですけど、如何も……^^;

確かに大奥は子供を持つと強いですよね。それはそれは怖いぐらいに^^;

へーラーさんは重圧に耐えれない典型みたいな人ですw
2007-12-20 Thu 20:07 | URL | 小米雪 #2zzHlsOw[ 内容変更]

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